建物明渡マニュアル回答

川崎市内はもちろん、東京都内横浜市内の司法書士料金の相場よりも低価格です。

無料出張相談も承っておりますので、東京都内・横浜市内の方もお気軽にご相談ください。
土日祝祭日もご相談の予約を承ります。
 

建物明渡手続き全般  

保全手続き

建物明渡マニュアル回答

このページでは、建物明渡マニュアルをご紹介いたします。

建物明渡手続きの解決手段は?

建物明渡手続きの解決手段は以下のとおりです。

任意交渉 

相手方との間で電話や書面の送付、あるいは面談を行い、裁判外の交渉を行います。仮に訴訟事件となった場合、どのような判決内容になるかを予想しながら、相手方との落とし所を探って行きます。

民事調停 

相手方との間で簡易裁判所に対し、民事調停を申し立てることができます。調停が成立すると確定判決と同じ効力を有する調停調書が作成され、その調停調書が債務名義となります。

つまり、判決と同様に調停調書に基づき強制執行が可能となります。ただし、相手方には調停期日に出頭する義務がないので話し合う余地がない場合には、有効な手段とは言えません。

訴え提起前の和解(即決和解) 

相手方との間で、建物明渡しについて、おおむね合意がまとまったときは、明渡しに関する債務名義を得るために、即決和解を利用することができます(民事訴訟法275条)。
この場合、申立の前提として相手方との間で事前に合意書を取り交わすことが大事です。
合意書には、相手方が即決和解の期日に出頭しなかったことを賃貸借契約の解除事由として追加しておくことをお勧め致します。

訴訟提起 

相手方との任意交渉が難しい場合には、建物明渡しを求めて訴えを提起します。訴えを提起すると、裁判所から相手方に訴状が送達されますので、心理的圧迫を与えることができます。その心理的圧迫を利用して、交渉を有利に進めることができます。合意がまとまらないときは、訴訟手続きを進めて判決を得ます。

占有移転禁止の仮処分 

賃借人が建物の占有を移転するおそれがある場合には、裁判所へ占有移転禁止の仮処分の申立てを行います。占有移転禁止の仮処分は、執行官がその建物に赴き、占有移転を禁止する旨を公示しますので、これを契機として事件解決となることもあります。

 

賃貸人が死亡した場合の進め方は?

相続人を特定します。

賃貸人の戸籍謄本、遺産分割協議書、遺言書などで相続人を特定します。
事前に相続登記が完了している場合には、不動産登記事項証明書で確認します。

賃借人が死亡した場合の進め方は?

相続人を特定します。

賃借人が死亡している事実が判明した場合には、戸籍謄本等により相続人を確定させる必要があります。
また、賃貸借契約を解除するには、共同相続人全員に対し、解除通知を行わなければなりません。

転貸の場合の進め方は?

転貸の経緯を詳細に確認します。

転貸人から相談の場合、転貸について賃貸人の承諾があるか否か、転貸の経緯を詳細に確認します。 

 

当事者の判断能力に問題がある場合は?

成年後見の申立てを検討しなければなりません。

賃貸人が判断能力を喪失している場合には、成年後見の申立てを検討しなければなりません。

また、賃借人が判断能力を喪失している場合には、親族等を探索し、成年後見の申立てを要請することになります。親族等が不明の場合は、賃借人の居住している市町村の福祉関係機関に強制執行後の賃借人の保護について相談を持ちかけることも必要になるかもしれません。

当事者が町内会などの権利能力なき社団の場合は?

当事者として訴訟を提起することができます。

町内会などの権利能力なき社団も当事者として訴訟を提起することができます(民事訴訟法29条)。 
この場合、裁判所は、定款その他の当事者の当事者能力を判断するために必要な資料を提出させることができます(民事訴訟規則14条)。 

賃貸人が複数の場合は?

各自が賃借人に対して全額の賃料を請求できます。

賃貸人が複数の場合、賃料債権は不可分債権と解されておりますので、各自が賃借人に対して全額の賃料を請求できます。
賃借人は、賃貸人の1人に家賃全額を弁済すれば、賃貸人全員のために弁済の効力が生じます。なお、共同賃貸人が、賃借人の債務不履行を原因として、賃貸借契約を解除するには、共有物の管理行為として、共有持分の過半数の決定で行います(最高裁昭和39年2月5日判決)。

賃借人が所在不明の場合?

所在の調査を行います。

賃借人が所在不明の場合には、住民票などを取り寄せて所在の調査を行います。
 住民票などを取り寄せても、所在が不明な場合には、訴状の中で賃貸借契約を解除する旨を記載し、訴えを提起します(民事訴訟法113条)。 
この場合、公示送達の方法により送達が行われることになります。

賃借人が夫婦の場合は?

配偶者に対して家賃の請求をすることができます。

契約当事者ではない配偶者に対して家賃の請求をすることができます。
賃貸借契約が、夫婦の同居の生活のために締結された場合には、賃料債務は日常家事債務として、契約当事者ではない配偶者も連帯債務責任を負います(札幌地裁昭和32年9月18日判決)。

氏名不詳の第三者が占有している場合は?

占有移転禁止の仮処分を行います。

付近住民の聴取りや建物の現状から氏名不詳の第三者が本件建物を占有しておることが確実となった場合、占有者を特定しないで行う占有移転禁止の仮処分を行います(民事保全法54条の2)。
その仮処分命令の執行により占有者が特定され次第、その占有者及び賃借人を被告として建物明渡請求訴訟を提起します。

建物利用状況の確認の仕方は?

カメラ、ビデオ等を持参して現地調査をします。 

賃借人の利用状況に問題がある場合には、カメラ、ビデオ等を持参して現地調査をします。
写真を撮影した場合、撮影者、撮影日時、撮影した目的物、撮影した目的物と撮影位置との方位等を記録に残しておかなければなりません。

賃貸建物への立ち入り調査をしたいときは?

親族や連帯保証人などの立会いを求めて合い鍵で立ち入りを検討する必要があります。

賃借人が長期間家賃を支払わず、その姿を見かけなくなったときは、親族や連帯保証人などの立会いを求めて合い鍵で立ち入りを検討する必要があります。 
事件性がある場合には、所轄警察署に連絡して警察官の立会いの要請を行います。 

更新後の保証人の責任は?

原則として責任を負います

期限の定めのある建物賃貸借における保証人は、原則として、更新後の賃貸借契約に基づく債務についても責任を負います(最高裁平成9年11月13日判決)。
ただし、賃借人が多額の賃料を延滞させているにも関わらず、賃貸借契約が法定更新された事情の下では、法定更新後の債務について責任を負わないとされております(東京地裁平成10年12月28日判決)。

賃借人の家財などの残置物は処分(廃棄)してもいいの?

処分(廃棄)してはいけません。

賃借人の残置物を処分(廃棄)することは、賃借人の所有権を侵害することになります。したがって、賃借人の残置物を無断で処分することはできません(自力救済の禁止)。

賃貸人と賃借人間で、賃貸物件内の残置物の処分を許容する合意がある場合においても、賃貸人が賃貸建物の入口に施錠し建物内の賃借人の家財などを搬出処分した行為につき、損害賠償責任が認められた裁判例があります(東京高裁平成3.1.29日判決、札幌地裁平成11.12.24日判決)。

例外として、以下の2つの要件を満たす場合には、自力救済が許されます(最高裁昭和40.12.7判決)。
1.法律に定める手続きによったのでは権利の実現が不可能または著しく困難となる、緊急やむを得ない特別の事情があること。

2.私力行使の方法・態様及び結果が、その必要の限度を超えない範囲内であること。

この2つの要件の双方を充たしている場合には、自力救済が不法・違法性を問われることはありません。

仮処分命令の効力は?

占有の承継者に対して強制執行をすることができます。

仮処分命令の執行をすることにより、以下の者に対しても強制執行をすることができます。
①仮処分命令の執行がなされたことを知って係争物を占有した者
②仮処分命令の執行後にその執行がなされたことを知らないで係争物を占有を承継した者

仮処分命令の特徴は?

仮処分命令の特徴は以下のとおりです。

緊急性 

①口頭弁論を経ないで、原則として決定による。
②保全の必要性は疎明で足りる。
③保全執行には原則として執行分が不要。
④執行期間が2週間とされている。
⑤保全命令が債務者に送達される前に執行可能である。

暫定性 

本案判決までの暫定的なものである。

付随性

本案判決を前提としたものであり、これに付随する。

密行性

手続きの進行を債務者に知らせないまま発令される。

 

仮処分命令の内容は?

仮処分命令の内容は以下のとおりです。

①債務者に対し、係争物の占有の移転を禁止し、
②係争物の占有を解いて執行官に引渡し、
③執行官に係争物の保管をさせ、
④占有移転が禁止されていること及び、執行官が係争物を保管していることを公示させることが命じられます。

仮処分命令の必要性とは?

仮処分命令の必要性は以下のとおりです。

仮処分命令は、
①現状変更により債権者が権利を実行することができなるおそれがあるとき、
②権利を実行するのに著しい困難を生じるおそれがあるとき

に発することができます。

債務者を特定しないで発することができるか?

できます。

債務者を特定することが困難とする特別の事情があるときは、債務者と特定しないで仮処分命令を発することができます(民事保全法25条の2)。
ただし、執行時に執行官が占有者を認定することができなければ執行不能となります(民事保全法54条の2)。

債務者を特定することが困難とする特別の事情とは、単に占有者が不在であることだけでは足らず、その建物の表札や郵便ポストの氏名等の外観の調査や、近隣から聞き込みした結果等から占有者を特定できないことが必要です。
仮処分命令申立書には、その特別の事情を詳細に記載することになります。
もっとも実務では、密行性の観点から両隣、管理人などに聞く程度の調査で十分と考えられます。

仮処分命令申立の相手方は?

直接占有者だけが相手方になります。

転貸借人が占有している場合の転貸人は間接占有者ですが、仮処分命令申立ての相手方にはなりません。転貸人は、本案訴訟の被告となります。

なお、賃借人の同居者などの占有補助者は、独自の占有を有していないので、本案判決に基づいて強制執行することができます。

仮処分命令を申立てる裁判所の管轄は?

本案の管轄裁判所または、係争物の所在地を管轄する地方裁判所へ申立てます。 

本案提起前であれば、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所となります。
建物所在地を管轄する地方裁判所でも可能です。
本案係属後は、本案の管轄裁判所だけが管轄裁判所となります。

仮処分命令における担保基準は?

仮処分命令における担保基準は、以下のとおりです。

保全命令においては、ほぼ全事件について、立担保を命じられます。
担保の基準は、以下のとおりです(司法研修所民事弁護教官室編)。

居住用賃料の3ヶ月分~6ヶ月分
店舗用賃料の6ヶ月分以上または、物件価格の1%~5%

担保提供期間は?

実務上、3日~7日の範囲内で定められます。

担保提供期間の起算日は担保決定の翌日から起算されます。特別の事情があれば、裁判所は、執行期間(2週間)の範囲内で延長することができます。

第三者も担保提供者になれるか?

裁判所が認めれば第三者も担保提供者になれます。

担保は、原則として、保全命令を申立てた債権者が提供しますが、債権者が上申し、裁判所がこれを認めた場合は、第三者に担保を立てさせることができます。

担保提供の方法は?

金銭、有価証券、支払保証委託契約、当事務者の特別な契約で行います。

金銭、有価証券の場合は、管轄の供託書に供託し、裁判所供託正本を提示しその写しを提出します。
支払保証委託契約の場合は、銀行、信用金庫等と契約を締結されたことを証明する文書を裁判所に提出します。実務上、当事者間の特別の契約でなされるケースはほとんどありません。

仮処分命令はいつ債務者に送達されるか?

保全執行後相当の期間内に送達されます。

仮処分命令の執行は、密行性の要請から仮処分命令が債務者に送達される前であってもすることができます。債務者が不特定の場合は、保全執行と同時に執行官送達をするか、保全執行後に執行官からの占有者の特定の届出をまって後日送達されることになります。

仮処分命令の執行を開始するには?

仮処分命令の正本と保全執行申立書を執行官室へ提出することにより開始します。

執行手続きには、執行分の付与は不要ですが、承継があった場合は承継執行分の付与が必要になります。

ご連絡先はこちら

運営:司法書士KAWADAリーガルオフィス
川崎市中原区丸子通一丁目 636番地 朝日多摩川マンション213号室

044-431-3181

FAX:044-431-3182
Email:
kawada-office@khf.biglobe.ne.jp
代表の川田です。親切・丁寧な対応をモットーとしておりますのでお気軽にご相談ください。

主な業務地域

■川崎市
中原区、川崎区、幸区、麻生区、多摩区、高津区、宮前区

■横浜市
中区、西区、南区、鶴見区、神奈川区、保土ヶ谷区、戸塚区、泉区、栄区、港南区、瀬谷区、旭区、磯子区、金沢区、青葉区、緑区、都筑区、港北区

■神奈川県(その他)
藤沢市、茅ヶ崎市、鎌倉市、大和市、平塚市、相模原市(中央区、緑区、南区)、小田原市、南足柄市など

■東京都
大田区、品川区、目黒区、渋谷区、新宿区、世田谷区、港区、千代田区、中央区、文京区、台東区、江戸川区、豊島区、杉並区、中野区、墨田区、江東区、葛飾区、足立区、荒川区、板橋区、練馬区など23区全域、町田市など
 

携帯からはこちら